展示:幻のロシア絵本

本館所蔵の 「幻のロシア絵本」復刻シリーズ 全10巻(淡交社, 2004年刊) の中から3つの絵本をご紹介します。

このシリーズには全巻に解説と対訳がついており、ロシア語がわからなくても楽しむことができます。
展示していない他の巻は1F開架726.6/MA大型の棚にありますので、ぜひそちらもご覧ください。貸出もできます。

「サーカス」(「幻のロシア絵本」復刻シリーズ 1)

サムイル・マルシャーク=詩, ウラジーミル・レーベジェフ=絵

Russia2

1920-30年代のロシア絵本の黄金時代を築いた名コンビ、詩人マルシャーク(1887-1964)と画家レーベジェフ(1891-1967)の生んだ最高傑作のひとつに数えられる絵本です。軽業師の演目から始まり、おなじみのサーカス芸の数々がシンプルかつカラフルに描かれています。おしゃれでデザイン性に優れ、そのまま興行ポスターとして通用しそうな作品です。マルシャークの短い詩も、サーカスの呼び込みさながらに威勢がよくて、わくわくさせられます。

「紙とハサミ」 (「幻のロシア絵本」復刻シリーズ 8)

レフ・ユージン&ヴェーラ・エルモラーエワ=絵

Russia1

子どもたちに「もの作り」の面白さを伝えるための「工作絵本」です。この絵本は二人の画家ユージン(1903-1941)とエルモラーエワ(1893-1938)によって創られ、「工作絵本」の傑作といわれています。巻末の「切り抜き型」を切って折り曲げると、スキーヤーや馬ぞりなどの紙おもちゃを簡単に作ることができ、楽しく遊べます。

「郵便」(「幻のロシア絵本」復刻シリーズ 9)

サムイル・マルシャーク=詩, ミハイル・ツェハノフスキー=絵

Russia3

郵便屋さんの働く姿を子どもたちに伝える絵本です。世界中を旅する紳士ジフトコさんを追って、一通の書留郵便がとうとう地球を一周してしまいます。この絵本を作ったのは、詩人マルシャーク(1887-1964)と画家ツェハノフスキーの二人です。マルシャークはリズミカルな詩で物語を書き、郵便屋さんが一通の手紙を届けるためにひたすら歩き続ける姿を表現しました。そして、この物語に、画家ツェハノフスキーが構造主義の流れを汲むシンプルなデザインの絵を添えています。