展示:三代歌川広重画『大日本物産図会』

『復刻版 大日本物産図会(だいにほんぶっさんずえ) 上巻・下巻』
一立齋廣重(いちりゅうさいひろしげ)(三代歌川広重)画
雄松堂書店 2013

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『大日本物産図会』について

『大日本物産図会』は、三代歌川広重が日本諸国の名産品の生産工程などの様子を描いた揃い物の錦絵です。
明治十年(1877)に開かれた第一回内国勧業博覧会に出品・販売されました。内国勧業博覧会は、明治明治政府が殖産興業を目的に開催したもので、明治の殖産興業政策を象徴する博覧会です。

本学所蔵の『復刻版 大日本物産図会』は、「ケンショク「食」資料室」の所蔵本の内から保存状態の良いものを底本として刊行されたものです。
上・下、二巻の折本に、現在までに確認された全118図が原寸大で収録されており、「大日本物産双六(すごろく)」が付録として付いています。

三代歌川広重(1842-94)について

三代広重は天保十三年(1842)に生まれ、明治初期に活躍しました。「東海道五十三次之内」で知られる初代広重の門人で、文久年間(1861-1864)頃に作画を始めた当初は「重政」と名乗っていましたが、二代広重が慶応元年(1865)に師家を去った後に三代広重を襲名しました。
東京名所絵、横浜絵、開化絵、物産絵などを多く手掛け、明治の文明開化の時代を作品の中に描き出しました。彼の作品は明治文化を伝える貴重な資料となっています。

【参考文献】

・国際浮世絵学会編(2008)『浮世絵大事典』 東京堂出版.
・小林忠監修(2006)『浮世絵師列伝(別冊太陽)』 平凡社.