展示:レオナルド・ダ・ヴィンチ関連図書

◆連続展示企画 貴重書より  第2回「解剖手稿」
本学所蔵の貴重書の中から、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿・素描集を順次紹介しています。

「解剖手稿」
ケネス・D. キール, カルロ・ペドレッティ原典翻刻・注解 ; 裾分一弘[ほか]翻訳
岩波書店 1982.2
※英国ウィンザー城王室図書館エリザベス女王陛下所蔵の複製
da Vinci2-3 da Vinci2-1

レオナルド・ダ・ヴィンチはルネサンス期の画家として有名ですが、建築、彫刻、数学、工学、解剖学から軍事まで、幅広い分野で多彩な活動を行なったことでも知られています。彼は、自然を観察し、思いついたことを羊皮紙のノートに書き留めました。また、ひとつの作品を作るために、人間や生き物、風景を何枚もスケッチしました。それら手書きのノートのことを手稿とよび、現在約8000ページが世界各地で保存されています。しかし、実際に彼が書いたものはその倍以上であると推定されています。

本学所蔵の「解剖手稿」は、英国ウインザー城王室図書館蔵の原本を複製し、イタリア語原典翻刻を日本語訳したもので、日本国内では350部出版された限定版(当館所蔵はNo.9)です。描かれてから約500年を経て、肉眼で見えなくなった部分が精細な技術で再現され、原本より鮮明な図を見ることができます。
解剖手稿は200枚にも及び、その内容は、骨学、筋肉、比較解剖学、循環器系、神経系、呼吸器系、消化器系、生殖系、胎児学など多岐にわたります。
生涯に行った解剖は30体以上だったと、彼自身が語っていますが、その後何世紀もこれほどの解剖を行なった人物は医学者でもいないということです。

次回は「パリ手稿」を紹介する予定です。